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旅で見つけたロシア人の素顔
ロシア講座のグループリーダーをつとめてくださる予定の井生明さんから、ロシアでのユニークな体験をうかがいました。ロシアの人びとの素顔が垣間見れるのではないでしょうか。


タクシー運転手が700kmリレーで運んだビザ

ロシアからの帰国前に、ひょんなことからロシア連邦のひとつトゥバ共和国に行くことになりました。タクシーをチャーターして700キロの道のりを駆け抜け、やっとの思いでトゥバのチェックポイントに到着しました。ところがビザ(査証)が見あたりません(汗)。どこを探しても見つからず、目の前が真っ暗になりました。


そういえばトゥバにくる途中、両替をした際、パスポートの提示を求められました。ロシアのビザはホッチキスで留めるでもなく、ただパスポートに挟みこまれるままになっていたので、落としたのかもしれません。


係員とのやりとりの一部始終を見ていたタクシーの運転手さんが「きっと、さっきの両替所で落としたんだろう。あの銀行には俺の知り合いもいるし、ドライバー仲間みんなとも連絡をとりあってビザを届けてやるよ」と言ってくれました。


その場は仕方なく罰金を払い、自分が滞在する知人宅の住所をタクシーの運転手さんに告げて望みを託しました。そしてなんと!一週間後に本当にビザが届いたのです。


さらに驚いたことに、後日トゥバの町でタクシーに乗ったとき「僕の名前はアキラで日本から来たんだ」と運転手さんに話したら、「おまえひょっとしてビザを無くさなかったか?」といわれ、よく話を聞いてみると彼もタクシーリレーで、トゥバへビザを運んできてくれたうちの一人だったのです。



朝からウォッカ、お昼もウォッカ
台所でのお酒とおしゃべりが大好き
シベリア鉄道のコンパートメントでロシア人と居合わせたときのこと。食堂車の食事があまりおいしくないせいか、ロシア人はみな黒パン、サラミ、チーズ、野菜などをもって乗り込んでいました。私は何も持っていなかったので、同室のロシア人が「おいアキラ、朝ご飯だぞ」と食事を用意してくれました。


仲良くなると人との距離がとても近いのがロシア人。ごはんが終わると今度はウォッカの瓶を出してきて、朝からショットグラスで一気…。もちろん僕もおつき合いすることになりました。そしてまたお昼をごちそうしてもらった後は、またしてもウォッカ(笑)。


彼らにとって列車の旅は特別なのか、お酒を飲んだり歌を歌ったり、まるでお祭り騒ぎのようでした。ロシア人はお酒好きといわれますが、それは本当です。酒を酌み交わしながら人と語ることが大好きで、出かけるよりは家の台所に集まることが多いようです。


そういえば詩を愛するロシア人が多いのですが、詩や歌詞に「台所」という単語が頻繁に出てきます。彼らにとっての台所は、食べたり飲んだりするだけでなく、語ったりもする思い入れのある場所なんでしょうね。

※インタビューをもとに編集部で構成

井生 明
Iou Akira
(プロフィール)
1971年福岡県北九州市生まれ。ロシア語通訳・写真家。大学在学中にロシアのモスクワ国立大学に一年間留学。その帰りがけ、シベリアにあるトゥバ共和国へ寄り道。現地の喉歌「ホーメイ」の素晴らしさに触れる。現在は、北九州市に戻り、ロシア語通訳として働くかたわら、写真展やライブ企画などを行う。

ロシア講座の詳細について

くわしい情報は機関誌『エルダーの旅便り』に掲載しています。ご希望の方には最新版を無料で一部ご郵送いたします。(FAXも可能)

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